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サディスティック・マリッジ
第4章 卑猥な噂
「おい男好き、お茶汲みしてこいよ」

津川が愛里咲に言えば、周りの女子社員もニヤニヤ笑って見ている。

(中学生のイジメかよ⁈ )
愛里咲はため息をついて立ち上がる。

最近では女子社員の顔と名前も一致した。

愛里咲の部署に9人いる女子社員のうち、好んでイジメをするのは、津川、伊藤、神谷、荒木の4人だ。
津川が発足した、琉のファンクラブとやらの会員らしい。


「おはようございます。お茶どうぞ」

男性社員一人一人にお茶を配る。

毎日3回はしている事だ。
誰がどの湯呑みなのかすっかり憶えた。

(いつもと同じように……)
コソコソと小声で言い合いながら愛里咲を見ている津川たち。
メールの事で動揺しているなんて知られたくなくて、愛里咲は必死で平静を装う。


「千葉さん、大丈夫?」

何人かの男性社員が気遣わしげな声を掛けてくれる。

「…っ…大丈夫です」

優しい言葉にはつい涙腺が緩む。
愛里咲は半泣きで笑顔を作り、湯呑みを分けていった。


その度に津川たちから陰口を叩かれる。

「うわ、見て、あの目!」

津川が言えば、

「男を誘ってますよね」

「キモイッ」

伊藤と神谷が、愛里咲に聞こえるように言う。

悔しさに、愛里咲は唇を噛み締めていた。



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