この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第16章 2 宮様と王子
「その、ミント王子なんだけどね」
最初からの出会いとこれまでのことを包み隠さず、真菜に話す。
「んんー、なんか匂う」
「えっ? ごめん。あたしかなあ?」
「やだっ、ふふっ、違うわよ。――そのミント王子よ」
「ん? ミントのいい匂いするねえ」
「もうっ、芳香ちゃん、気を付けて。ミント王子、きっと芳香ちゃんのこと狙ってるよ?」
「ええっ!? まさかー」
「兵部さんいるから、たぶん大丈夫だとおもうけどさ」
「ううーん。変な人だけどそんな感じはしないなあ」
「ふふっ、芳香ちゃんの方は心配なさそうだね」
「なにが?」
「んんー、ミント王子のこと好きにならなさそうってこと」
「やだぁー、ならないよー」
男女の機微に疎い芳香は真菜の話があまり理解できなかったが、やはり薫樹という恋人がいるのだから誤解を招くような行動は慎もうと心に決めた。
また涼介のことを好きになれるかどうか考えたとき、全く心が動かされないと実感する。出会いの印象が良かろうとも彼に恋はしないだろう。
もし薫樹と涼介と出会い方が逆であったらどうだろうか。
最初からの出会いとこれまでのことを包み隠さず、真菜に話す。
「んんー、なんか匂う」
「えっ? ごめん。あたしかなあ?」
「やだっ、ふふっ、違うわよ。――そのミント王子よ」
「ん? ミントのいい匂いするねえ」
「もうっ、芳香ちゃん、気を付けて。ミント王子、きっと芳香ちゃんのこと狙ってるよ?」
「ええっ!? まさかー」
「兵部さんいるから、たぶん大丈夫だとおもうけどさ」
「ううーん。変な人だけどそんな感じはしないなあ」
「ふふっ、芳香ちゃんの方は心配なさそうだね」
「なにが?」
「んんー、ミント王子のこと好きにならなさそうってこと」
「やだぁー、ならないよー」
男女の機微に疎い芳香は真菜の話があまり理解できなかったが、やはり薫樹という恋人がいるのだから誤解を招くような行動は慎もうと心に決めた。
また涼介のことを好きになれるかどうか考えたとき、全く心が動かされないと実感する。出会いの印象が良かろうとも彼に恋はしないだろう。
もし薫樹と涼介と出会い方が逆であったらどうだろうか。