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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第20章 パフューム『KOMACHI=小町』の製作
 二人はまだ結ばれてはいないが、以前、ルームフレグランスで芳香が暴走して以来、大胆な愛撫を施し合っている。
 芳香はもういつでも抱かれたいと望むが、薫樹の方が納得しない。こだわりの強い彼はきっと今日も芳香を抱かないだろう。

 ショーツを剥ぎ取り、薫樹は芳香の膝裏を持ち、そっと開脚して茂みに鼻先をうずめる。

「う、う、は、恥ずか、しい」

 恥ずかしさと興奮と快楽で芳香はすでに秘所を濡らしている。匂いを嗅がれ、鼻先で花芽を弄ばれ、舌を這わされる。

「うぁぅう、あっ、ああん」
「ああ、いい香りだ」
「わ、私も、し、げきさんの、匂わせて……」
「ああ……」

 ソファーから芳香を抱いて寝室に移る。
全裸になって貪るようなキスをした後、薫樹は身体の向きを変える。

 芳香の秘裂に舌を這わせ、捻じ込む。親指で花芽を回転させると、芳香は腰を浮かせにじりだす。

「あ、あ、あっ、や、も、もう、来ちゃう、ん」
「ああ、僕もだ」

 芳香は快感の中、夢中で薫樹のものを口に含み、しゃぶり続けている。

「し、げき、さあん、お願い、抱いて。もう、もうあたし」
「ごめん、今の仕事が終わるまで、待ってほしい。――ちゃんと抱きたいから」
「ああんっ、あんっ、や、いっ、くっぅ――」

 わななきながら芳香は身震いをする。薫樹も彼女の口淫に精をこぼす。

「うっ――」
「あうぅ、薫樹さんっ、のいい、匂い――」

 うっとりとした表情の芳香を見ると、薫樹は乏しい征服欲を満たされる気がする。


「君は、嫌じゃないのか。――普通の女性は嫌らしいよ」
 口元を清拭しながら薫樹は芳香の髪を撫で尋ねる。
短い息をしながら芳香は「わ、わかりません」と答え恥ずかしそうに目を伏せた。

 ベッドで香りと快感を愉しんだ後、芳香の腹が空腹で鳴るまで、抱き合っていた。
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