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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第21章 涼介のミントガーデン
 動かずに抱き合ったまましばらく時を過ごす。

「動かないの?」
「もうちょっと、このままで」

 唇が腫れるくらいキスをした後、涼介はストロークは浅めにゆっくり腰を動かし始めた。

「あ、な、中がいっぱいな感じ」
「辛い?」
「ううん。満たされる、感じ」
「早く、気持ちよくさせたい」

 苦痛しかないだろうと、涼介は最小の動きで早く射精することを考えた。

「いま、でも、きもちいい」

 少しだけ慣れてきたのか環の身体から力は抜けている。涼介は片方の足を開かせ、爪先を持ち、口に含んだ。

「きゃっ、あっ、あっ、はぁっ――」

 足が性感帯のようで、愛撫を施すと環の蜜がまた溢れてきた。

「ああ、イキそうだ」

 出来るだけゆっくりと思っていても絶頂が間近に迫ると動きが早くなってしまう。

「いいの、いっ、ぱい――う、動いて」
「ああっ――た、環っ――う、うぅ――あぁ……」

 初めて避妊せずに女性を抱いて中に放出した。

「ああ、なんだかまた満たされる、感じがする」

 環は和らいだ表情で涼介を見つめ、その背中を抱きしめる。温かいぬくもりを感じながら涼介は告白する。

「環。好きだ。結婚しよう」
「家族になるの?」
「嫌かな」
「嫌じゃないわ」

 汗ばんだ身体にミントの風が爽やかに吹く。
日が陰るまで二人は自然の中で寄り添い抱き合い、これからの生活についてまるで少年と少女のように夢を語り合った。
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