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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第8章 8 混じりあう芳香
半泣きの顔を見ると志が折れそうだ。しかし足の付け根から甘い麝香の香りが薫樹を誘う。するっと指先を滑り込ませ茂みを優しく撫で、いまだ柔らかい小さな花芽をさする。
「あっ、んっ」
びくんと身体を跳ねさせ芳香は高い声をあげる。直接嗅ぐのをやめ薫樹は指先に香りを移そうと柔らかな花弁を波打たせ、やがて蜜源に到着する。一枚一枚めくる様に開くとすでに溢れんばかりの蜜が滴っていて指先を濡らした。(天然麝香を手に入れたぞ)
もっと多くの蜜を手に入れるべく、ゆっくりと中指を内部に差し入れる。
「あ、つぅ」
「ん? どうした?」
「な、なんか、苦しくて……」
初めて受けいれるのが一本の指であろうと芳香には辛いのかもしれない。ふっと麝香の香りが弱くなる気がした。
「ごめん。せっかちだったな」
「あ、いえ……」
潤んだ瞳と紅潮した頬が薫樹に香り以外の刺激を与える。ゆっくり指を抜き、濡れた指先を芳香の目の前に差し出す。
「君の香料だ」
「やっ、やだっ! へ、変態っ!」
目を吊り上げののしる芳香に薫樹は唸った。
「うーん。変態か……」
薫樹が考え込み始めると芳香は身体をさっと起こし、椅子に掛かっていたバスタオルを取り身体に巻き付け始める。
「何してるんだ」
「もうっ、今日は帰ります」
すっかり怒ってしまっている彼女に性急すぎた自分に反省をする。いつの間にか香りも薄まりなんとなく感じられる程度になっている。
「本当にごめん。あまりにいい匂いだったから……」
「ほんとに、いい匂い……なんですか?」
香りを褒められると少しは機嫌を直したようだ。
「うん。今では手に入らない天然の麝香の香りだ」
「作れないんですか?」
「今出回っているものは100%人口で作られた麝香だよ。でも天然には及ばないんだ。君の香りも再現は不可能だろう」
「私の香りなんて作んないでください!」
「ははっ。作れたらどんなにいいだろうね。ずっと嗅いでいたい。興奮もするしリラックスもする。最高だよ」
「そ、そんなに褒められると……。あの、私のとっては薫樹さんの指先のほうがそんな感じなんですが」
「ふむ。不思議なもんだな」
「あっ、んっ」
びくんと身体を跳ねさせ芳香は高い声をあげる。直接嗅ぐのをやめ薫樹は指先に香りを移そうと柔らかな花弁を波打たせ、やがて蜜源に到着する。一枚一枚めくる様に開くとすでに溢れんばかりの蜜が滴っていて指先を濡らした。(天然麝香を手に入れたぞ)
もっと多くの蜜を手に入れるべく、ゆっくりと中指を内部に差し入れる。
「あ、つぅ」
「ん? どうした?」
「な、なんか、苦しくて……」
初めて受けいれるのが一本の指であろうと芳香には辛いのかもしれない。ふっと麝香の香りが弱くなる気がした。
「ごめん。せっかちだったな」
「あ、いえ……」
潤んだ瞳と紅潮した頬が薫樹に香り以外の刺激を与える。ゆっくり指を抜き、濡れた指先を芳香の目の前に差し出す。
「君の香料だ」
「やっ、やだっ! へ、変態っ!」
目を吊り上げののしる芳香に薫樹は唸った。
「うーん。変態か……」
薫樹が考え込み始めると芳香は身体をさっと起こし、椅子に掛かっていたバスタオルを取り身体に巻き付け始める。
「何してるんだ」
「もうっ、今日は帰ります」
すっかり怒ってしまっている彼女に性急すぎた自分に反省をする。いつの間にか香りも薄まりなんとなく感じられる程度になっている。
「本当にごめん。あまりにいい匂いだったから……」
「ほんとに、いい匂い……なんですか?」
香りを褒められると少しは機嫌を直したようだ。
「うん。今では手に入らない天然の麝香の香りだ」
「作れないんですか?」
「今出回っているものは100%人口で作られた麝香だよ。でも天然には及ばないんだ。君の香りも再現は不可能だろう」
「私の香りなんて作んないでください!」
「ははっ。作れたらどんなにいいだろうね。ずっと嗅いでいたい。興奮もするしリラックスもする。最高だよ」
「そ、そんなに褒められると……。あの、私のとっては薫樹さんの指先のほうがそんな感じなんですが」
「ふむ。不思議なもんだな」