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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第10章 2 フィトンチッドの効果
「お似合いだったなあ……」

 薫樹と美月が向かい合わせで座っている姿を思い出す。


 ボディーシートのコマーシャルをテレビで見た。その時の美月はふわっとした長い薄茶色の髪に、グリーンのシフォンドレスを纏い伸びた長い手足をするっとシートで滑らかに拭きあげる森の妖精だった。まだ歳若く新人だが、今回のイメージガールに抜擢されたことで各界から注目を集めているらしい。


 今日の美月はコマーシャルの印象とは全く違い、ツヤツヤしたピンクゴールドのワンピースでキュートな女の子だ。
 薫樹はラフではあるが薄いブルーのドレスシャツで、相変わらずクールさを引き立たせている。
髪や肌の色素の薄さは彼の硬質な雰囲気を柔らかく品の良さに変えているようだ。

「お内裏様とフランス人形みたいだったなあー」

 写真を撮りたいくらいに綺麗な二人を目の当たりにすると、嫉妬するよりも納得してしまうのだった。
薫樹が自分の事をフィアンセと紹介してくれていることが芳香にとって嬉しいと、今はまだ素直に思えない。
 長らく湯船につかり、今夜のことを思いながら身体を撫でたが、気分が暗くなってきたので上がることにした。

 芳香が身体を拭いていると、薫樹がやってきた。

「ああ、もう出るのか。一緒に入ろうかと思たんだが」
「あ、彼女、帰ったんですか?」
「うん、待たせて悪かった」
「いえ、仕事ならしょうがないですよね」
「ん。――冷えるといけないから早く服を着たほうがいい」
「そうします」

 芳香はバスタオル一枚の半裸なのに薫樹は特に気にするふうでもなく、シャツのボタンを外し始める。
恋人同士でもまだ付き合いが浅いのだから、裸を気にしたりはしないのだろうか、と思いながら芳香は言われたとおりにパジャマを着る。
男だからなのか薫樹は恥じらうこともなく、すっかりヌードになり浴室へ入っていった。

 長身で細身の背中がまるで白い蛇のような怪しさを感じさせる。初めてのベッドで彼の身体が芳香の身体の上を這うように滑らかに動いたことを思い出す。

「見ちゃうと恥ずかしいな」

挙動不審になりながら芳香は浴室を後にした。
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