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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第15章 第三部 ミント王子
一方、涼介は、床が好きというのは嘘ではないが実は芳香の足を眺めてるだけだった。(スリッパ邪魔だなあ)
踵から足首、ふくらはぎのラインを眺めて悦に入ってはいるが、本当は爪先が好きだ。
薫樹の恋人なのでうかつなことはできないが、まだ結婚してないしなと気楽に芳香にちょっかいを出してみようと考えている。
美味しそうにミントティーを飲んでいる二人を尻目に涼介はリビングの隅の紙袋から、ミントの葉が覗いているのが見えた。
「ん? ミント?」
近寄って袋を覗くとやはり大量のミントが入っている。
「あ、それ、私のお店の……」
「ふーん。お店でミント扱ってるの?」
「え、ええ。園芸店に勤務してますので」
「見ていい?」
「ええ、ああ、でもそれちょっと商品にするには今一つなのでもらったものだから」
ミントを袋から出し涼介は長いムエット(試香紙)を嗅ぐように、ミントから少し距離をとり、高く筋の綺麗に通った鼻先で香りを吸い込んでいる。
「いいスペアミントだ。香りが強いし元気だね」
「そうですか」
店のミントが褒められて芳香は嬉しかった。
ミントティーを飲み終えた薫樹が「ご馳走様。とても美味しかったよ。これならお客もたくさんくるだろうね」と涼介に話しかける。
「お客?」
芳香が首をかしげていると薫樹が説明を始める。
「今度、彼はミント専門のカフェをプロデュースするんだよ。うちの会社には今開発中のメンズボディーローションの調香に来てくれている」
「へー、多忙極まりないですねえ」
にっこり笑って涼介は「疲労もミントでばっちりリフレッシュですよ」とウィンクしながらまるでタレントのように決めていた。
「は、はあ、すごいですね」
「フフ、僕も最近香りの効果というものを実感したばっかりだ。清水君は造詣が深いね」
「いやあ、匂宮さまにそういわれると――。俺はミントだけですからね」
同じ調香師ではあるが少し専門が違う二人は互いを敵視することもなく認め合っているようだ。
芳香は男同士は爽やかなものだなあと甘くて爽やかなミントティーを味わっていた。
踵から足首、ふくらはぎのラインを眺めて悦に入ってはいるが、本当は爪先が好きだ。
薫樹の恋人なのでうかつなことはできないが、まだ結婚してないしなと気楽に芳香にちょっかいを出してみようと考えている。
美味しそうにミントティーを飲んでいる二人を尻目に涼介はリビングの隅の紙袋から、ミントの葉が覗いているのが見えた。
「ん? ミント?」
近寄って袋を覗くとやはり大量のミントが入っている。
「あ、それ、私のお店の……」
「ふーん。お店でミント扱ってるの?」
「え、ええ。園芸店に勤務してますので」
「見ていい?」
「ええ、ああ、でもそれちょっと商品にするには今一つなのでもらったものだから」
ミントを袋から出し涼介は長いムエット(試香紙)を嗅ぐように、ミントから少し距離をとり、高く筋の綺麗に通った鼻先で香りを吸い込んでいる。
「いいスペアミントだ。香りが強いし元気だね」
「そうですか」
店のミントが褒められて芳香は嬉しかった。
ミントティーを飲み終えた薫樹が「ご馳走様。とても美味しかったよ。これならお客もたくさんくるだろうね」と涼介に話しかける。
「お客?」
芳香が首をかしげていると薫樹が説明を始める。
「今度、彼はミント専門のカフェをプロデュースするんだよ。うちの会社には今開発中のメンズボディーローションの調香に来てくれている」
「へー、多忙極まりないですねえ」
にっこり笑って涼介は「疲労もミントでばっちりリフレッシュですよ」とウィンクしながらまるでタレントのように決めていた。
「は、はあ、すごいですね」
「フフ、僕も最近香りの効果というものを実感したばっかりだ。清水君は造詣が深いね」
「いやあ、匂宮さまにそういわれると――。俺はミントだけですからね」
同じ調香師ではあるが少し専門が違う二人は互いを敵視することもなく認め合っているようだ。
芳香は男同士は爽やかなものだなあと甘くて爽やかなミントティーを味わっていた。