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爪先からムスク、指先からフィトンチッド
第15章 第三部 ミント王子
「時間があるなら、店の中見てみない?ミントのメニューもたくさんあるんだ。良かったら何か意見してよ」
「中、見てもいいんですか?」
可愛い外観にミントのメニューと芳香は好奇心をくすぐられ、誘われるまま裏口から店内に入った。
レンガ造りの内部のあちこちにミントの鉢植えが置いてあり、光をとる窓は大きく明るい。
「中も可愛いー」
「ほんと? 良かった」
人懐っこい笑顔を見せ、涼介はメニューを持ってきて芳香に見せる。
「モロッコミントティー、モロッカンサラダ、ミントノカプレーゼ、ミントアイス――へえ色々あるんだあ」
「どうかな? まだ増やしたいけど」
「んー、そうですねえ。夏はいいけど、冬ってなんかミントは寒い気がして――」
「はあはあ。なるほど。芳香ちゃんは鋭いねえ。うーん、冬メニューね、うんうん」
「すみません、あんまり気にしないでください」
「いやいや、いい意見だよありがとう。ミントで何か鍋とかどうかなあ。ちょっとまた考えてみよう」
仕事に真剣に向き合っている姿は恰好いいんだなと芳香は涼介を見つめた。
「じゃあ、この辺で私は失礼します」
「ああ、待って。急いでる?」
「いえ、そういうわけじゃありませんけど」
「ご飯でも行こうよ。夜、何か約束がある? 今日、兵部さん出張中でしょ?」
「よくご存じで……。でもほかの男性と食事するとかってちょっと……」
「ええー。ご飯だけだよ? 兵部さんが怒るかなあ。ちょっと待ってて」
薫樹ははたして怒るのだろうかと考えていると、涼介はスマートフォンをさっと取り出し電話を始めた。
「――そうですか。わかりました。きっちり最後までエスコートしますからご心配なく」
電話を切り芳香の方へ向き直る。
「兵部さん良いってさ」
「ええ!?」
「今電話で聞いたら、よろしくって言ってたよ」
「……」
「いこうよ、すぐ近くに美味しい串料理屋があるんだ」
薫樹がダメだと言わないことが芳香を複雑な気分にさせる。
「ですね、じゃ、いきます」
あまり気分が乗らないが夕飯をまだ決めていなかったのでついて行くことにした。
「中、見てもいいんですか?」
可愛い外観にミントのメニューと芳香は好奇心をくすぐられ、誘われるまま裏口から店内に入った。
レンガ造りの内部のあちこちにミントの鉢植えが置いてあり、光をとる窓は大きく明るい。
「中も可愛いー」
「ほんと? 良かった」
人懐っこい笑顔を見せ、涼介はメニューを持ってきて芳香に見せる。
「モロッコミントティー、モロッカンサラダ、ミントノカプレーゼ、ミントアイス――へえ色々あるんだあ」
「どうかな? まだ増やしたいけど」
「んー、そうですねえ。夏はいいけど、冬ってなんかミントは寒い気がして――」
「はあはあ。なるほど。芳香ちゃんは鋭いねえ。うーん、冬メニューね、うんうん」
「すみません、あんまり気にしないでください」
「いやいや、いい意見だよありがとう。ミントで何か鍋とかどうかなあ。ちょっとまた考えてみよう」
仕事に真剣に向き合っている姿は恰好いいんだなと芳香は涼介を見つめた。
「じゃあ、この辺で私は失礼します」
「ああ、待って。急いでる?」
「いえ、そういうわけじゃありませんけど」
「ご飯でも行こうよ。夜、何か約束がある? 今日、兵部さん出張中でしょ?」
「よくご存じで……。でもほかの男性と食事するとかってちょっと……」
「ええー。ご飯だけだよ? 兵部さんが怒るかなあ。ちょっと待ってて」
薫樹ははたして怒るのだろうかと考えていると、涼介はスマートフォンをさっと取り出し電話を始めた。
「――そうですか。わかりました。きっちり最後までエスコートしますからご心配なく」
電話を切り芳香の方へ向き直る。
「兵部さん良いってさ」
「ええ!?」
「今電話で聞いたら、よろしくって言ってたよ」
「……」
「いこうよ、すぐ近くに美味しい串料理屋があるんだ」
薫樹がダメだと言わないことが芳香を複雑な気分にさせる。
「ですね、じゃ、いきます」
あまり気分が乗らないが夕飯をまだ決めていなかったのでついて行くことにした。