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ヘタレ男と最低ヤローなのに好きな人
第1章 ヘタレ男と最低ヤローなのに好きな人
14年前ーーー
まだ雪の残る春になりかけの季節。
生まれて初めての恋はあっさりと破れた。
後から考えれば、そんなに好きじゃなかった子なんだけど……。
俺はたぶん、女の子じゃなくて男の方が好き。
でもこれが他とは違ってオカシイってことは承知。
だから誰でも良かったんだ。
彼女になってくれる子がいたら。
でも告白したその子は言った。
「浩介くん、好きな人他にいるよね? 」
だから付き合えないとーー。
まさか図星を指されるとは思わなかった。
好きな人はいる。
同級生の男。仲良しグループの一人。
だけど、そいつは彼女ができた。
ザクザクーーと、まだ雪が深めに残る海とは真逆の森の中を歩く。
少し歩いて高台になっている場所がお気に入りの場所。
俺はその雪の上に寝転んで目を閉じた。
気温は高めで、雪はほんのり冷たいが好きな人を想って熱くなった心にはちょうど良い。
「浩介? 」
目を閉じててもわかるくらい視界が一瞬暗くなって目を開けると、見知った顔の先輩がいた。
「カズマ先輩」
先輩は2個上で今は地元の高校に通ってる。
同じ部活で仲良かった。
「何してんの? 」
「……振られたから、一人で失恋に浸り中です」
相変わらず至近距離のまま先輩が見ている。