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ヘタレ男と最低ヤローなのに好きな人
第1章 ヘタレ男と最低ヤローなのに好きな人
未知の世界を責められ、キツさはいくらかマシになってきて、快楽へと変わる。

「挿れたい」

そう言う先輩を俺は受け入れた。

先輩は最後まで優しい。

「本当にごめん」


それを最後に先輩とは会わないようにした。


先輩は高校を卒業して、大学へ行くために都内へ出て行ってしまった。そして、卒業と同時にこの町へ戻り、彼女と結婚をした。



俺は二人から離れたくてこの町を出た。






************


それから8年ーー。


雪がシンシンと降り始めた季節。
中学時代の部活仲間との同窓会があって戻ってきた。

先輩以外の人を好きになろうと努力はした。
だけど、どうしても先輩じゃなきゃダメで、どれだけ想っても手に入らない人なのにと何度も落ち込む。


逢いたいーー(逢って抱きしめてほしい)
逢わないーー(不毛な関係にはなりたくない)
遭ってしまったら、またあの夜を思い出して、その手で触れて欲しくなる。

同窓会の前に高台へ向かう。

ザクザクと深い雪の中を歩いていく。



例えば、先輩が奥さんと別れていたならーーそんな最低な考えも浮かんでくる。
俺のことを好きじゃないって言ってくれてたら諦めていたのに。


真っ白な雪景色にさえ願ってしまう。

この先に先輩がいることをーー。

初めてキスされたあの場所で先輩が待ってますようにとーー。




ーー完ーー
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