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アンケート御礼小話詰め合わせ(_ _)
第3章 近頃都で流行るもの(スグリ・サクナ)
(これっ、ひも?!紐よね?ひもっ……なんでひも……)
それは紐ではなくて、下穿きでした。その下穿きはほとんどが紐から出来ていて、真ん中辺りに申し訳程度に小さな真珠色の絹地が縫い付けて有りますが、
(こんなのっ、すぐぐしゅぐしゅになっちゃうぅううっ…)
「あ?どうした」
「どうもしないっ!」
紐を身に着ける所を見られる訳には行きません。恥ずかしすぎて、卒倒してしまいます。
スグリは慌てて紐……ではない、お化粧着の下穿きを自分の腰骨の辺りに結び付けました。
「……ロゼとお揃いのをレンブにこっそり送って貰って、急に着てみせて、びっくりさせるつもりだったのにっ……」
最後に箱に残った上着だけは、前開きの形をしていてお尻が隠れそうな長さのごく普通の形だったので、スグリはほっと致しました。羽織ってみると、紐同然の下穿きの心許なさも覆い隠せそうな気になりました。
「はいっ!お待たせしました、着れましたっ!!」
「おお。お待ちして……た……」
サクナは口を開いたままで、固まりました。
真珠色の繊細なレースが柔らかい曲線の上に薄雲の様に纏わって、夕刻の薄暗がりの室内に光を放っているかの様です。
「……んだよこりゃ……」
「これ?お化粧着。都で流行ってるの」
「……けしからねぇ流行りだな……」
「ふ?けしか?……ひゃ?!」
「んだこの紐は」
サクナはぐいっとスグリの体を引き寄せて、紐に指を引っ掛けて引っ張りました。
「やだ、ほどけちゃうっ!それ、下穿きっ!!」
「あ?……んな紐ぁ丸見えだろうがよ」
「ふへ?……えぇっ?!」
丸見えと言われたスグリは、鏡を見ました。確かに下着の斜めの裾から、すっかり紐が見えてしまっております。
「これっ、これがっ、上に被ってっ、見えない筈なのにいっ!!」
「あ゛?」
下着の裾を引っ張り下ろそうとするスグリを、サクナは鼻で笑いました。
「ローゼルにも同じもんやったのか」
「ふ?うん、リボンの色は違うけ……どっ?!」
紐がついにしゅるっと解けて、スグリは慌てました。
「やんっ!!やだ、脱げちゃう」
「着てる意味ねぇだろ、お洗濯中みてぇにびしょ濡れになってんぞ」
「に゛ゃっ?!」
くちゅりと糸を引いて外された下穿きを目の前に掲げて検分する夫の胸を、スグリはばしばし叩きました。