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星逢いの灯台守
第3章 空蝉のひと
…澄佳は昔と少しも変わらなかった。
いや、あの頃よりも更に美しく…その白い花のような美貌はまるでダイヤモンドの如く光り輝くように見えた。
長い髪を後ろでひとつに結び、ネイビーブルーのバンダナで束ねていた。
生成りの白いシャツに藍色のデニムパンツ、ペパーミントグリーンのギャルソンエプロン、白いスニーカー…。
そんな地味な格好にもかかわらず、澄佳は息が止まるほどに美しかった。
宮緒は澄佳の華美な服装は見慣れていた。
片岡は澄佳を飾り立てようとしていたからだ。
青山のサロンに通わせ、髪型やネイルを常に整えさせていた。
洋服もハイブランドの服を買い与え、着させていた。
澄佳は普段着以外は、片岡の指定するものを素直に身に着けていた。
ジュエリーやアクセサリーも若い女性が垂涎のブランドのものばかりが揃えられ、与えられていた。
それらは澄佳に良く似合っていた。
華やかに着飾っても澄佳は決して下品になることはなく、その美貌は負けることはなかった。
…けれど、今の飾らないシンプルな装いの澄佳はかつての彼女の何倍…何十倍も美しく煌めいて艶やかで…そしてとても幸せそうだった。
店先に立った澄佳は、眩しげにその美しい瞳を細め、額に手を翳し海を見つめていた。
薄っすらと浮かんだ微笑みは昔のままだった。
…優しく楚々とした微笑み…。
宮緒の大好きだった微笑みだ。
…澄佳さん…。
思わず一歩踏み出す。
…その時…。
「…柊司さん。綺麗な夕陽よ」
澄佳が振り返り、優しく声を掛けた。
…店の中からすらりと背が高く均整の取れた逞しい身体付きの…そして、眼を見張るほどに端正な貌立ちをした一人の男が現れた。
「…ああ、本当だ。
とても綺麗な夕陽だね…」
美しい男は、穏やかな良く通る声でそう答えると、傍らの澄佳を優しく抱き寄せた。
いや、あの頃よりも更に美しく…その白い花のような美貌はまるでダイヤモンドの如く光り輝くように見えた。
長い髪を後ろでひとつに結び、ネイビーブルーのバンダナで束ねていた。
生成りの白いシャツに藍色のデニムパンツ、ペパーミントグリーンのギャルソンエプロン、白いスニーカー…。
そんな地味な格好にもかかわらず、澄佳は息が止まるほどに美しかった。
宮緒は澄佳の華美な服装は見慣れていた。
片岡は澄佳を飾り立てようとしていたからだ。
青山のサロンに通わせ、髪型やネイルを常に整えさせていた。
洋服もハイブランドの服を買い与え、着させていた。
澄佳は普段着以外は、片岡の指定するものを素直に身に着けていた。
ジュエリーやアクセサリーも若い女性が垂涎のブランドのものばかりが揃えられ、与えられていた。
それらは澄佳に良く似合っていた。
華やかに着飾っても澄佳は決して下品になることはなく、その美貌は負けることはなかった。
…けれど、今の飾らないシンプルな装いの澄佳はかつての彼女の何倍…何十倍も美しく煌めいて艶やかで…そしてとても幸せそうだった。
店先に立った澄佳は、眩しげにその美しい瞳を細め、額に手を翳し海を見つめていた。
薄っすらと浮かんだ微笑みは昔のままだった。
…優しく楚々とした微笑み…。
宮緒の大好きだった微笑みだ。
…澄佳さん…。
思わず一歩踏み出す。
…その時…。
「…柊司さん。綺麗な夕陽よ」
澄佳が振り返り、優しく声を掛けた。
…店の中からすらりと背が高く均整の取れた逞しい身体付きの…そして、眼を見張るほどに端正な貌立ちをした一人の男が現れた。
「…ああ、本当だ。
とても綺麗な夕陽だね…」
美しい男は、穏やかな良く通る声でそう答えると、傍らの澄佳を優しく抱き寄せた。