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フリータイム
第2章 終電と眠る女
……汚い面。率直にそう思いました。綺麗な窓のおかげで若干スマートに映っていましたが、ここで自分がハンサムだと錯覚していい気になっていると、家に帰って凄まじい嫌悪感に襲われることになります。

 闇の景色から己との睨めっこに意識が傾き、ふと気づきました。これも田舎だとよくある光景なのですが、車内の光を反射させた窓には、向こう側の席も映ってたんです。つまり私の席と同列の、通路を隔てたお隣さん。

 そこには、一人の若い女性が座っていらっしゃいました。レディスーツを着ていることからしてOLさんでしょう。光の屈折具合で細部までは見えませんでしたが、短い髪をしていて、どこか爽やかな雰囲気を醸し出した顔でした。もしかしたらスポーツでもやっているのかもしれませんね。

 ……こんな時間まで働いて、この人も疲れてるんだろうなあ……。

 私は外を見ているフリをして、窓に映ったその人を眺めました。

 ……入社一年目か。

 長い社会人生活で培われた私の目利きがそう告げました。明らかに新社会人。自分の若い頃を思い出すように初々しく、きっと学生気分が抜けきっていないことでしょう。

 よく見ると彼女は目をつぶっており、こくりこくりと微睡んでいました。

 そりゃそうだ。いくら若いとはいえ、こんな遅くまで仕事をしてたら体がもたないってもんですよ。老若男女、誰もが皆疲れるんです。

 電車が緩やかなカーブに差し掛かって、ちょっとした衝撃で車内が少し揺れました。なんていうか……走っている線路が切り替わった時のようなガクンとした揺れ方です。

 女性は揺れに驚くこともなく、車内の振動に身を委ねていました。よっぽど疲れているのでしょう。そのうちフラフラしていた頭が窓に寄り掛かって、完全に寝入ってしまったようでした。

 ……寝過ごすなよ。車掌に呼び起こされるにはまだ早えんだんから。

 心の中で呟きつつ、私は自分で言った言葉がツボにはまって自虐的な笑みを浮かべました。この二十数年の間、何度車掌さんに起こされたことか。ほとんどが飲み会に帰りなのですが、今でもたまにあるのだから情けない。

 それから十数分ほど経過しました。次の駅に到着してから「特急電車通過のためしばらくお待ち下さい」のアナウンス。各駅停車でもこの待ち合わせがなければいいんですが、これは鈍行電車の定めですね。
 
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