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獣に還る時
第1章 獣に還る時
 相手がうつ伏せたまま、バックで犯すという体位は初めてだった。床についた膝が少々痛いところだが、それはピストンの気持ちよさに流されて気にならない。



 突き上げる度に、妻の尻がプルプルと揺れた。もっと……もっと突いてと媚びているかのようだった。



 膣の中も濡れ始めた。例え本人の意識がなくとも、局部が刺激を受ければ当然起こる現象だ。


 それにともなって、夫は膣の奥にある子宮頸部を攻めた。コリッ……コリッ……っと、亀頭を深々と突き刺す。


「はあっはあっ!」


 夫は大噴火を起こす一歩手前まで来た。一度ピストンの動きを緩めようと思うものの、本能がそれを許さない。もっと愉しみたいのだが、波状で途切れない快感の波に逆らえなかった。

 

 己の息子が妻の中で暴れるのを見続けた。


 抑えきれない。


 妻の尻を強く掴んだ。


 獣が一匹、全身から汗を散らせた。雄の本能が種を植え付けようと、更なる快楽を与えてきた。


 子宮頸部に亀頭を突き立てる。


 男根の根元と言わず、体の全てを妻の中に入れたかった。


 先兵として溢れ出るガマン汁。卑しくも音を奏でる妻の愛液。


 ……受け取れ!


 夫は心の中で雄叫びを上げた。


 肉棒が、亀頭が、夫の欲望の全てが妻の中で放たれた。 


 ドクッ……ドクッ。快感の絶頂と一緒に、精液が飛び出た。一滴残らず射精してやった。


 無意識に止まっていた呼吸が動き出す。全身から力が抜け落ちた。妻の尻を強く鷲掴みにしていた手を緩めると、尻には真っ赤な手形が残っていた。


 夫は急速に萎えていく竿を引き抜いた。その際、直前まで快く聞こえていた卑しい音が、もうすでに煩わしい音へと変わっていた。


 醜い欲望を妻の膣に放り投げた。押し付けるように注ぎ込んでやった。思わぬ機会に、思わぬ形で妻を犯した夫は、新婚以来の満足感を得た。それも一方的な快楽。


 おそらく妻は、目を覚まして激怒するだろう。男の汁にまみれて、問答無用に種を入れられ、気づかぬ内に犯されたのだから、一人の女として黙っていないはずだ。

 だが、罪悪感はない。むしろ感謝の気持ちさえある満足感で一杯だ。


 気持ちよかった……その一言に尽きる。


 まるで童貞を卒業した時のように至福の時間だった。

 





 
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