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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第12章 兎と蛇
それでも彼も場はわきまえているのか、
すぐにパッと表情を戻した。
「なんてね?先輩、顔真っ赤〜。」
クスクスと笑いながら私の頭を撫でてくる。
なんてね、って。
あの目は確実に冗談じゃない。
人前じゃなきゃ容赦なく食べられてたやつだ。
私は視線だけを彼に向けて、ムッとした表情を見せる。
「……白馬くんて性欲強いでしょ。」
「あれ、今頃気付きました?」
悪意のない彼の笑み。
私も蛇塚さんに感化されたのかな。
なんとなく彼のお腹をパンチした。
微塵も効いてる様子がなかったけどね。
それから、寄り道に寄り道を重ねながら
私たちは金閣寺に到着した。
案の定そこは観光客でいっぱい。
何語かもわからない言葉がたくさん飛び交っている。
……まぁそれはいいとして。
「すみませ〜ん!写真撮って頂けますかぁ?」
「?!お、おおおう別にいいぜ。」
男性陣が目立ちすぎて困る……!
実は触れてなかったけど、
フリとうさもかなり見た目がいいんだよ。
それに加えて
白馬くんとフリは身長も高いから余計に目立つ。
というか、うさ女性苦手なのに写真撮ってあげてる。
いい人だなもう。
「ほ、ほら、これで大丈夫か?」
「わぁバッチリです!お兄さんありがとうございます〜!」
猫なで声を出しながら、
キャッキャと女の子達が去っていく。
すると、後ろからの冷気を感じたのか
うさがブルリと身体を震わせた。
そう。蛇塚さんからの冷気。
「あらあら兎、随分と楽しそうですわね……?」
彼女がゆっくりとうさの元に近づいていく。
彼は焦ったように振り向き、
必死に顔と手を横に振った。
「いや待て待て微塵も楽しくねぇよ!普通に撮っただけ……
つーかなんでそんなに怒ってんだ?!」
「別に怒ってなどいませんわ?ただ事実を申し上げただけですもの。」
うん、確かに蛇塚さんの顔はニッコリしてるけど、
オーラが怒ってる。
うさの隣にいたフリも、空気を察知して避難しだした。
蛇塚さんがうさの手を強く両手で掴み、
圧のある顔と声で告げる。
「あなた何気にルックスがよろしいのですから、もっと警戒心を持ったほうが宜しいのではなくて?誘拐にあってからじゃ遅いですのよ?」
「いででででっ、んだよお前は俺の親かよ!」