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呟き…
第7章 どこまでが浮気…4
言ってくれれば…。
そう言いかけた言葉を飲み込む。
言われても私にはどうしようもない。
悠真はそんな誘いに乗る人じゃないからだ。
百合さんが相馬さんの誘いに乗るべきじゃないと私に言うたのは、そういう意味を含んでる。
百合さんから見れば今の私は平気で悠真を蔑ろにして相馬さんと浮気をしようとしてる最低の女に見えたかもしれない。
いや…。
百合さん自身も自分の恋心に嘘を付き、相馬さんと浮気をしてた女性という事になる。
悠真だって…。
相馬さんだって…。
一体、どこからが浮気になるのだろう。
そして、どこまでが浮気になるのだろう?
「相馬さんは自分の彼女が相馬さんを裏切った場合、どこからどこまでが浮気だと判断しますか?」
何かしらの答えが欲しかった。
私の迷いを相馬さんが断ち切ってくれる気がする。
「その答えはまた来週な。」
相馬さんが笑顔で言う。
「はあ?来週?」
その勿体の付け方はなんなんだと口を尖らせる。
来週はいわゆる五月の大型連休になる。
今日の走行会の打ち上げを相馬さんの家でやるから相馬さんが私にも参加しろと言う。
「今日一日、僕は今田さんとメールをしてた。」
「悠真と?」
「ちゃんと話し合わないなら来夢ちゃんを口説くって脅したから…。」
「そういうのは止めて下さい。」
相馬さんのおふざけに振り回されたくない。
相馬さんの挑発は悠真を刺激するだけだ。
頭が混乱する。
私は建築しか知らない。
基礎を間違えれば、その上に築き上げるもの全てが脆く崩れ落ちる。
私は何を築いて来た?
自分の足元の脆さに怯えてまう。
帰りたい…。
何処にでも良いから…。
完全な迷子は悠真でなく私の方だった。