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第7章 　危機からの脱出

　ところが、『影絵」のことなど国民がすっかり忘れて頃、人口事件は新たな動きを見せた。

　ある研究機関が劣性遺伝病の発生頻度が異常に高くなっていることを発表したのだ。

　劣性遺伝病とは両親がともに病気をおこす遺伝子を持っている場合に発症する可能性がある遺伝病。
　調査に当たった医師は、発生頻度の異常な高さから、この現象の背景に近親婚があるのではないか、とのコメントを発表した。
　このコメントに着目した新聞記者が遺伝病としては発生頻度の高い嚢胞性線維症（のうほうせいせんいしょう）患者の家族関係を追跡調査した。
　調査結果は意外な事実を明らかにした。
　複数の患者の親のＤＮＡ検査を行ったところ、同じ父親から生まれた兄妹が複数いることが判明したのだ。