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旅の夜
第4章 狙っていたのよ
「よかった?」
「は、はい」
頬に掛かる夜風が涼しく、のぼせていた頭がスッキリしてきました。
彼女が私から離れると、白い精液の滓が湯の中に漂いました。
「叱られるわね」
「や、ヤバいなあ」
私は傍にあった手桶で汚れを汲み出しましたが、全部は取れませんでした。
「ははは、大丈夫よ。誰のだか分かりっこないんだから」
「はあ…」
だけど、見つかったら、それこそとんでもないことになります。
私は急いでここから出たかったのですが、彼女は慌てもせずに、湯から出ると、縁石の上に座って股間を湯で洗い流していました。
「早苗さん、急いで!」
「何を慌てているの?」
「だって、誰か入ってきたら大変ですよ」
「大丈夫よ。鍵掛けて『営業終了』って札も出してきたから、誰も来ないわよ。さあ、きれいになった」
そして、彼女は「いらっしゃい」と私の手を引いて隣に座らせると、湯で私のペニスを洗いながら、「偶然じゃやないのよ」と言いました。
「えっ?」
私は何のことだか分りませんでしたが、「君を追いかけて来たのよ」と早苗さんは笑っていました。
「眠れなくて、お風呂にでも入ろうかと部屋を出たの。そうしたら、君の姿が目に入って、そのままついて来たのよ」と言うのです。
まさか、そんなこと、私は信じられませんでしたが、彼女は顔を赤くしながら、「最初にバスに乗った時から君のことをずっと狙ってたんだぞ」と告ってきました。