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旅の夜
第1章 満天の星
湯に浸かり、手足を伸ばしてそれを見ているだけで、「宿題もなんとかなるだろう」と、先程までの焦っていた気持ちはどこかに行ってしまいました。そんな時です。ガラガラと引戸が開く音が聞こえてきました。
せっかくいい気分なのに、邪魔するなよ…私はがっかりしましたが、そんな気持ちは次の一言ですっ飛んでしましました。
「一緒にいいかしら?」
驚いて振り向くと。湯気の中に見えてきたのは同じツアーに参加していた40歳くらいの女性、顔立ちは今で言えば女優の大塚寧々さんにちょっぴり似ているかな。
えっ、今の時間は男性専用だった筈だけど…私は入口の案内板を思い浮かべていましたが、彼女は素っ裸のまま、前も隠さずに近づいてきました。
「驚いた?」
「は、はい」
大きなおっぱい、股間には黒い陰毛…彼女は湯船の淵に片膝をつき、手桶で体に湯を掛けていましたが、当時の私は純情そのもの、恥ずかしくて背を向けてしまいました。
「早苗(さなえ)よ」
「く、邦夫(くにお)です」
背中越しに声を掛けてくれましたが、早くどこかに行ってくれと思うばかりで、私は振り向く勇気などありませんでした。
ところが、驚くことに彼女は「ああ、気持ちいい」と私の横に入ってきたのです。