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第8章 中沢ミドリのこと
「あなたを非難しに来たんじゃないわよ。性欲のない人間なんて屁みたいなもの。私たちは性に対して自由でありたいと考える一団で、楽しい企画をかたちにしているの。あなたはエッチが大好きで、抑えられない衝動を抱えている。それがわかったから、招待するのよ」

 ミドリは恐る恐るチケットを手にとってながめる。
「富裕層のスポンサーがいっぱいついているから、料金も必要ないのよ」

「楽しそうな話だけど、私のこと、ずいぶん調べてきたのは何故?」

「あなただけを調査してるわけじゃないのよ。それに楽しそう、行きたい、って思っても、実際には二の足を踏むわ。そう出来ないよう、ちょっとした脅迫をしてるのよ」

「私、学校には絶対に知られたくないの。仕方ない、行くから絶対に公にしないでね」

 東川はニコリと笑って立ち上がり、ミドリに顔を向けたまま、キッチンを出て行った。
 ミドリが様子を伺いにそっと後をつけると、ドアが開け閉めする音がして、もう姿は消えていた。

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