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お局の坪井さん
第1章 一
気付いた時には遅かった―――
34歳、坪井穂乃花(つぼい ほのか)。いつの間にやら、私は14年間勤めている会社のお局になっていた。
「坪井さん、この作業分からない所があって……教えて欲しいんですけど……」
周りは、20代の若い子だらけ。同期の社員は、皆寿退社で辞めてしまった。
分かっている……。自分が若い子達から気を遣われている事も、いつまで経っても寿退社しない、処女だと噂されていることも。
だけど、仕方ないんです!生まれてこの方、彼氏が出来た事ないんです……!
「ごめんなさい。これから私、出張なの。他の人に教えて貰ってくれる?花井さん」
「そうでしたか!はい!行ってらっしゃい!」
荷物を詰め込んだバックを肩に掛け、デスクを立つ。そんな私に深々とお辞儀をする花井さん、22歳。
ピチピチだ……。肌も卵のようにツルツルで、今時のメイク、髪型。可愛いとしか言葉が出てこない。
私だってこんな時代があったのに。地味で、眼鏡で、昭和生まれ。年なんて、永遠に取りたくない……。