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お局の坪井さん
第4章 四
「ごめんね……まだ、夢みたいで。健斗君と付き合えた事が。だから……結婚とかは、まだ考えてないかな……」
そのうち出来たら嬉しい……。それに、仕事も好きだ。今の仕事を辞めたくもない。欲張りかもしれないけど。
「分かりました。俺、待ちます」
「ありがとう、健斗君」
「半年です」
「えっ?半年……?」
分かって貰えて嬉しかった。お礼を言うと、ニコッと微笑む。だけど、健斗君の半年という言葉に、疑問を持つ。
「半年って、何が半年なの……?」
「半年間で心の準備を終わらせてください!そして半年後、俺と結婚してください!」
「健斗君……」
本気なの?!私はわなわなと唇を震わせ、
「仕事は、辞めないよ……?」
「良いですよ!穂乃香さんが辞めたくないなら!共働き、支えます!」
「子供だって、すぐ出来るか分からないんだよ……?」
「大丈夫です!穂乃香さんさえ、側にいてくれれば!」
「君って……」
天使か!!!
私の目には涙が滲んだ。
漸く気付いた。私、お局が嫌だったわけじゃない。寿退社がしたかったわけじゃない。
ただ、こうして自分も好きで、自分の事も好きになってくれる人に出会いたかっただけなんだ。
「あの……出会ってくれて、ありがとう……」
「こちらこそ。大好きですよ」
頬へチュッとキスされると、そのままお互いに唇を啄む。甘く、優しく、求め合いながら、暫くキスをすると、
「続き、しましょうか」
その言葉に、笑顔で頷いた。
「あのね、健斗君……」
半年後にならなくても分かる。きっと、私達の未来は――……
end