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我儘ぶりっこのナツキは可愛すぎる
第1章 1起
そこへ、パタパタとスリッパの音をさせながら、例の女子がノートを抱え、私のところへ真っ直ぐ向かってくる。

「先生、解らないとこがあるんだけど、教えてくれます?」

表情を一つも変えずに、ややキツイ感じでそう言うと、私の顔をまじまじと見て、今度は

「他の先生は授業やってるのに、なんでタバコ吸ってさぼってんの?」

と座るなり彼女は言い放った。

「サボってるわけじゃないよ。もう自分の受け持ち授業終わったから」

「ふーん、皆はまだやってるのに、勝手に終わらせてるんだ」

初めて話すというのに詰問され、私はむっとして言った。

「そういう君、あっ、名前はなに?」

「そっちから名乗りなよ」

ネームプレートを私は指さした。

「しゃべれないの?」

あくまでも、つんつんとした態度でくる。

「君の名前は?」

「さあ・・・」

とりつくしまもない。

こういう相手には、おどおどしたところを見せてはいけない。

「で、何がわかんないの?っていうか担当の先生はどうしたの?彼女に教えてもらいなさいよ」

「あいつ熱でてダウン中。部屋で寝てる」

「そっかあ、明日から教えられるのか?」

「知らない。なんか、今日中に治すから、夜は自習してろだって」

「じゃあ、教室いこうか」

腰を上げようとすると

「やだ、ここがいい。あっちはやだ」

と言う。

持ち上げた腰を再び下ろした私は、彼女の質問にその場で答えてやることにした。

小一時間ほど過ぎたところで、何人かの先生が職員室に戻ってきたので、そろそろ終わりにしようと彼女に声をかけた。


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