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ハンカチの君
第13章 料亭
授業が終わると、圭子は急いで自宅のアパートに戻った。
圭子の借りている部屋は、寝るためだけにあるような部屋で必要最低限のものしかなかった。

小さな押入れを開けて、タイトなミニスカートとTシャツに着替える。
圭子はヘルスに向かう間に着る用の服を2着買って、いつも交互に着ていた。
化粧や髪型を変えているので、悠馬に押し付けられた服は似合わなかった。
それに、大学に行った服装のままでアルバイト先に行くのは、リスクが高い気がした。
古着屋で濃い化粧に似合いそうな服を買って、いつもそれを着ていた。

今日はヘルスに行くのではなく、清一郎に指定された店に向かっていた。
清一郎がピルをすぐにでも用意できると言っていたので、圭子はアフターピルを貰った次の日の夜に会うことにした。

ヘルスのバイトは重労働なので、2日連続で働くことはなるべく避けていた。
しかも今日の朝、1ヶ月に一回の月のものが来てしまった。
生理中は出勤できないので、一週間は出勤しない。

しかも、ちょうど一週間後の生理が終わった直後にフットボールサークルの合宿がある。
なので、10日は出勤できないことが決まった。
清一郎に絶対に今日会ってピルを貰わなければと思っていた。

悠馬に中出しされて、アフターピルを飲んだものの、不安だった妊娠の可能性が解消されて気分が楽にになった。
だけど、今後のことを思うとピルを貰っておいた方がいい気がしていた。

悠馬からは、あれから連絡はなかった。
そもそもあの日も浴室から出た後、悠馬に声をかけることもなく、勝手に帰った。

普段なら悠馬の体をタオルで拭いたり、髪を乾かしたりする。
その作業が遅れると悠馬から怒鳴られるのだが、あの日だけは圭子に指示することなく、自分でタオルで体を拭いていたし、ドライヤーを使ってる音が聞こえた。

勝手に悠馬の家を出てきて、悠馬から怒りの連絡や大学で捕まえられることを覚悟していた。
しかし、全く音沙汰がなくて、却って気味が悪かった。

もしかして、別に本命の彼女ができたのではとも思ったが、それなら合宿に来るなと連絡を必ずしてくるはずだ。

連絡がないと言うことは、合宿に行かなくてはいけないのだろう。
気まずい気持ちの中、悠馬に会うことになるかと思うと気が重かった。
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