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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第1章 いきなりラストシーンです。
死ぬ間際にこれだけの快楽が味わえるなら……まあ悪くはないのかもしれない。

薄れていく意識の中で、ふとそんなことを思った。

ドクドクと、まるで鼓動するかのように疼く恥部。

視界に映る汗まみれになった勇者の顔も、その背後に迫る瓦礫で覆い尽くされた空間も、何もかもが瞬間的にぼやけてしまう。

気持ち良い……

気持ち良いぞこれは……

唇の隙間から唾液が漏れるのを気付きながらも、それを拭き取ろうともせずに私は何度も腰を小刻みに痙攣させていた。

これほどまでの快楽を、かつて経験したことがあっただろうか。

願わくば、まだ生き続けることができていた頃に、この快感を知っておきたかった。

もっと早くに、この気持ち良さをたくさん味わっておきたかった。

そうすれば、今ごろ私も……


お母さんーー


幼い頃の自分の声。

かつて私にもそんな存在がいたことを、心が無意識に思い出させる。

私は、同じような存在にはなれなかった。

一族の中でも類い稀ない能力を持ち、ありとあらゆるものを支配して、ほしいままに手に入れることができた自分。

そんな私だったが、この手の中に自分の子を抱くことは選ばなかった。

いや、選べなかった。
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