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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第2章 僕は勇者です。
僕は、勇者だ。

いや、本当はしがないサラリーマン……

だった。

どこにでもいる、いや、どこにでもいるのに気付かれることもほんどないぐらい、冴えない男。

それが僕、加藤太郎だ。

なぜサラリーマンだった僕が、勇者なんてやっているのかを詳しく語り始めると夜が明けてしまうので割愛するが、簡単な話し、あっちの世界からこっちの世界にやってきてしまったのだ。

もともと僕は三流の大学を卒業後、MRを目指すことを決意するも夢が届かず、藁をもすがる思いで内定を取ることができた就職先がキッチンペーパーを作っている会社だった。

そこで15年もの間、日々お料理に奮闘する主婦さんやOL、そして時には対企業にと、自社オススメのキッチンペーパーを販売する営業を行っていたのだ。

頭も悪く、大した才能もない僕だったが、根気強さと真面目さだけはあったので亀が歩くスピードのように着々と自分の実績を伸ばしていった。

最初は右も左もわからなかった新社会人の僕だったが、15年という歳月をかけて係長に昇進することもできた。

さらにこの間、自分の場合はあと3回生まれ変わらないとできないだろうと思っていた、『結婚』という人生の一大イベントも迎えることができたのだ。

冴えない人生のままいずれ死ぬのだろうと思っていた僕も、ようやく人並みの生活と幸せを迎えることができる。

迎えた結婚式の日、なぜか僕のスピーチを聞きながら立ったまま寝落ちしそうになっている親父の顔を白い目で睨みながらも、そんなことを思っていた。

が、そう思っていた僕に、突然不幸が訪れる。
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