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もしも勇者がラスボスと子作りをしてしまったら。
第1章 いきなりラストシーンです。
怖い。
初めてそんな感情に飲み込まれた。
その間も、自分の身体を引き裂こうとするかのように、周囲にはけたたましいほどの岩が砕けるような音が響いていた。
一体……どれくらい時間が経ったのだろう。
気づけばいつの間にか激しい轟音も、背中に伝わっていた地響きのような振動も収まっていた。
そして何より、自分の意識がまだあることに驚いた。
私はまだ……死んでいないのか?
そんなことを思った直後、うっすらと開けた瞼の向こうに見えた光景に、私は思わず息を飲み込む。
何と、自分の身体を守るかのように、あろうことか宿敵であるはずの勇者が私の上に覆い被さっているではないか!
何たる屈辱。
何たる一族としての恥……
「な……何のつもりだ……」
ひゅっと唇から漏れる呼吸音に乗せるかのように、私は声を絞り出した。
が、相手は何も答えず、両手を地面につけたまま腕だけをぴんと伸ばし、自分の上半身を支えている。
その呼吸は、私と同じく苦しそうだ。
「……」
私は間近に迫った相手の顔を睨みつつ、ちらりと周囲の状況を確かめた。
どうやら奇跡的に、崩れてきた瓦礫がそれぞれ重なり合い、自分たちがいる場所だけ小さな空間ができているようだ。
初めてそんな感情に飲み込まれた。
その間も、自分の身体を引き裂こうとするかのように、周囲にはけたたましいほどの岩が砕けるような音が響いていた。
一体……どれくらい時間が経ったのだろう。
気づけばいつの間にか激しい轟音も、背中に伝わっていた地響きのような振動も収まっていた。
そして何より、自分の意識がまだあることに驚いた。
私はまだ……死んでいないのか?
そんなことを思った直後、うっすらと開けた瞼の向こうに見えた光景に、私は思わず息を飲み込む。
何と、自分の身体を守るかのように、あろうことか宿敵であるはずの勇者が私の上に覆い被さっているではないか!
何たる屈辱。
何たる一族としての恥……
「な……何のつもりだ……」
ひゅっと唇から漏れる呼吸音に乗せるかのように、私は声を絞り出した。
が、相手は何も答えず、両手を地面につけたまま腕だけをぴんと伸ばし、自分の上半身を支えている。
その呼吸は、私と同じく苦しそうだ。
「……」
私は間近に迫った相手の顔を睨みつつ、ちらりと周囲の状況を確かめた。
どうやら奇跡的に、崩れてきた瓦礫がそれぞれ重なり合い、自分たちがいる場所だけ小さな空間ができているようだ。