この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
飼い殺しの犬
第1章 飼い殺しの犬
「……見ての通り、腕、穴だらけ……
僕も、ジャンキーって事」
「何で逃げねぇの?……こうすりゃ、すっぽ抜けるじゃん」
山下は、痩せ細った僕の手首を手錠の輪から抜き取った。
左手だけ自由になる。
それだけ僕は、痩せこけたって事だな。
「……でもいいんだ、もう……
山下は逃げなよ、ちゃんと。
多分、もうすぐ先輩戻ってくると思うから……」
力無く答えると、山下が僕の左手首を掴んだまま引っ張る。
「あのさ、俺も話していい?」
言いながら、その手首に顔を寄せた。
「キングが言ってたブス。……あれ、うちの妹なんだよね」
……え
心臓が、止まる……