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飼い殺しの犬
第1章 飼い殺しの犬


じゃあ、山下は

渡瀬先輩に呼び出されたんじゃなくて

その先輩を探しに……?



……それとも



「んで、戻って来た妹達を……」


言いながら、山下が僕の手首の内側に鼻先を寄せる。
すん、と嗅いだ後、口角をクッと上げた。


「……って。なに、怯えてんの?

大丈夫。妹達は喋んないようにしてきたから」


かぷ……
手錠でできた痣に歯が立てられ……舌が這われる。


「それに……実は俺もあの先輩、生理的に受け付けなかったんだよねぇ」


……え


「そっかぁ。……柚希、死んじゃったんだ」


何故か嬉しそうに顔を綻ばせる。


「ウザかったな、あいつ。
柚木と同じ名前だからって俺達の間に土足で踏み込んで、柚木の周りうろちょろして。

目障りっつーか……丁度、消えて欲しいって思ってたんだよね」

「……っ、!」


山下……なに、言って……


「柚木もさぁ、何でそんなに柚希にくっついてたの?

……好きだったの?それとも隙あらばセックスしたかったとか……?」


そんな訳……!


手を引っ込めようと力を籠めれば、床に強く叩きつけられる。
そして手首を縫い付けられたまま、俺の上に跨がった山下に見下ろされる。

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