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飼い殺しの犬
第1章 飼い殺しの犬
その時柚希は、僕をメンバーに入れて欲しいと頼んだらしい。
僕も柚希と一緒で、このサークルから浮いた存在。
地味な存在で、パシりに徹している。
そのパシりが男女一人ずつ必要だと、他の強化合宿メンバーの同意で僕に決まったのが一番の理由か。
夏の強化合宿。
何を強化するのか……本当に実態は解らなかった。
海岸近くの別荘。
昭和の匂いがするような、古びた平家。引き戸。赤い郵便受け。
無駄に長くてうねった広い廊下。
部屋は全て畳。広さは8畳。3DK。
柚希と二人でこの別荘に前乗りし、まずは掃除。時折渡瀬先輩から僕の携帯に着信があり、変な気を起こしてないかと茶々を入れてくる。
一通り掃除が終われば、次は買い出し。
先輩達の酒のつまみや食材。これらを近くの商店で纏め買い。
アルコール類は、後から来る先輩達が持ってくるらしい。