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飼い殺しの犬
第1章 飼い殺しの犬
「……なぁ、柚希」
その帰り道。
並んで歩く柚希をチラッと見れば、ポニーテールが楽しげに揺れている。
「何でサークル辞めないの?」
素朴な疑問だった。
幾らキングが好きだとしても、素行の悪いキングにそろそろ熱が冷めてもいいのではないか。
「……んー、何でだろ」
少し照れながらも、あどけない笑顔を向ける。
両手に持つ荷物が重そうで、無言でひとつを奪う。
「……あ、ありがと。でも、みっつも持ったら重くない?」
「うん。……でも大丈夫」
「へー、やっぱ男だね。力持ち」
柚希が僕を下から覗き込む。
何処にでもいる、普通の女の子。
只の飲みサーに、健気に顔を出す可愛い女の子。
……先輩達から見たら、地味な柚希はタイプではないと思うけど。
でも、やっぱり心配だ……
「色んな噂があるけど。……キングは良い人だよ」
……秘密、特別に教えてあげる。
そんな表情を浮かべていた。