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第34章 あずきしゃーべっと

少年に夏休みがやってきた。
真っ先に「自由研究」を始める。

午前中から薮を掻き分けている。いつものルートから、さらに森林を越えて奥地へ、好奇心は昨日の終業式の最中から昂ぶり続けていた。

右手には大事なウエアラブルカメラを握りしめている。
敷地内のずいぶん奥地に少年は到達した。
近くには小川が流れているようだ。セミの鳴き声が途切れると、せせらぎの音が聞こえてくる。

ここの薮はコテージの壁と接している。中腰から、そっと窓枠へ、右手のカメラを差し込む。左手に持ったスマホはカメラと遠隔接続をしている。レンズから届く映像を見張りつつ、右手を操る。