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第37章 晩餐

○実は母親の食事介助を済ませると、夜七時の少し前には、レストランのある左棟の方へ廊下を歩んだ。

暗がりに紛れ込んだヤモリは展示ケースのガラス面にいた。絵付大皿の模様に同化してなおさら分かりづらい。吸盤を器用に使って、ニ三歩ずつ動いては、止まり、またよじ登る動きを繰り返した。

フラフラと白黒斑模様の小さな蛾がエントランスに舞い込んでいる。ヤモリはガラスに潜む。

捕食者は慎重に距離を詰める。最後は一瞬だった。
蛾は頭から齧りつかれて身動きできない。
ヤモリは晩餐にありついた。