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NAKED
第90章 独白
殺戮は目前での出来事……不条理だった。
瞬時に彼女から言葉を奪った。いや黙り込むことを彼女の方が選んだというのが正しいのかもしれない。
事件のあと幾度も彼女に襲いかかる、襲われるという恐怖。犯人への憎悪と恨み、喪失感と無念さ、それらの入り雑じった感情のループ。
悲嘆に暮れた後、彼女の精神は満杯となり、いつしか決壊した。
適応障害とも言われ、都会の生活に耐えられず、他に身寄りもなく、この地に行き着いた。
以来、人との接触を避けて暮している。