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NAKED
第18章 夏至
ガサ……ガサ……ガサゴソ……
薮の奥を越えて、とっておきの場所。目印となる樅の高木が一株、自生している。
その樹の根元、セミの幼虫は名も知らない低木の枝下にいる。その枝で飴色の殻が枝の樹皮に爪を食い込ませて時を待つ。
レンズを構える少年がいる。
薮草を散々かき分けて、彼はようやくこの場面にたどり着いた。
殻の背に割れ目が出来始める。
せり出してくる被写体を捉えようと、少年は今年買ってもらったばかりのウエアラブルカメラをしっかり握りしめ、映像がブレないように息を凝らしている。
薮の奥を越えて、とっておきの場所。目印となる樅の高木が一株、自生している。
その樹の根元、セミの幼虫は名も知らない低木の枝下にいる。その枝で飴色の殻が枝の樹皮に爪を食い込ませて時を待つ。
レンズを構える少年がいる。
薮草を散々かき分けて、彼はようやくこの場面にたどり着いた。
殻の背に割れ目が出来始める。
せり出してくる被写体を捉えようと、少年は今年買ってもらったばかりのウエアラブルカメラをしっかり握りしめ、映像がブレないように息を凝らしている。