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NAKED
第18章 夏至
セミはゆっくりと地面に向けて、上体を反らす姿勢で脱皮をしていく。
さっきまで地を這っていた幼虫は、衣を脱ぎ大胆な変身を遂げる。朧げながらも羽根が現れる。
それは生まれもった内に幾年も秘していたもの。羽化するセミは神秘的な青白磁色の光背をまとっている。羽根の皮膜は乾いてゆき、次第に透き通る。
今、この瞬間、少年の目と鼻の先で、門出の儀式は進行していく。
夏至のころ、蒼く夕闇が迫る時刻。蒸し蒸しする薮に息を押し留め、少年はお宝を目の当たりにして至福の時を過ごした。
さっきまで地を這っていた幼虫は、衣を脱ぎ大胆な変身を遂げる。朧げながらも羽根が現れる。
それは生まれもった内に幾年も秘していたもの。羽化するセミは神秘的な青白磁色の光背をまとっている。羽根の皮膜は乾いてゆき、次第に透き通る。
今、この瞬間、少年の目と鼻の先で、門出の儀式は進行していく。
夏至のころ、蒼く夕闇が迫る時刻。蒸し蒸しする薮に息を押し留め、少年はお宝を目の当たりにして至福の時を過ごした。