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兄の帰還 壁越しに聞こえる妻の嬌声
第2章 壁越しに聞こえる妻の嬌声
「ごめんね。颯太くんに辛い思いさせて」僕の胸に頭を載せながら琴美が言った。「私の声、聞こえてたんでしょう?」
「何も聞こえなかったよ」
「ウソ。今朝、颯太くんに電話したら、颯太くんの声が隣の部屋から直接、聞こえてきたわ」
「そうか」
「ごめんね。本当にごめんね」
琴美は泣いていた。兄が言っていたことは本当だったようだ。琴美は泣き虫だ。
「もういいよ。僕が望んでそうしたことだし……。それに、琴美が兄さんのお嫁さんだったことは間違いないことで、その上で琴美は僕を選んでくれたんだから」
「……」
「もう泣くなよ。兄さんにまた笑われるぞ」
「……」
「それより子どもを作ろう。僕たちの子どもを」
「うん」
琴美は、僕の胸に顔を埋めると、子どものように泣きじゃくった。
「何も聞こえなかったよ」
「ウソ。今朝、颯太くんに電話したら、颯太くんの声が隣の部屋から直接、聞こえてきたわ」
「そうか」
「ごめんね。本当にごめんね」
琴美は泣いていた。兄が言っていたことは本当だったようだ。琴美は泣き虫だ。
「もういいよ。僕が望んでそうしたことだし……。それに、琴美が兄さんのお嫁さんだったことは間違いないことで、その上で琴美は僕を選んでくれたんだから」
「……」
「もう泣くなよ。兄さんにまた笑われるぞ」
「……」
「それより子どもを作ろう。僕たちの子どもを」
「うん」
琴美は、僕の胸に顔を埋めると、子どものように泣きじゃくった。