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さすがに無理やろ
第10章 天国と地獄
それから
何度名前を呼んでも
振り向いてくれない青山さんは
俺の目の前でタクシーを止めて
走り去ってしまったんや
あぁ…最悪や…
天国から地獄とはこのことで
さっきまでウキウキワクワクやった俺の心は
ズタボロになってしまっていた
もちろん
何度も電話したし
水本さんのことは誤解やと
メールも送った
けど
返信はない
メールを読んでくれてるかどうかも
分からへん
はぁ…
俺は
ため息を吐きながらベンチに座り
青山さんの部屋の玄関を見上げた
青山さんを
急いで追いかけて
ここまで来たけど
さすがにインターフォン押す勇気はなく
俺は
近くの公園のベンチに座ってるんや
あぁ…もうこんな時間か…
どうすることもでけへんまま
時計の針は
もうすぐ日をまたごうとしていた
と、その時
青山さんの部屋の前に
人影が見えた
あ!葵ちゃんや!
その人影は
おそらく葵ちゃんで
多分
俺のことで怒ってしまった青山さんが
葵ちゃんに連絡を取ったんやろう
あー…
これまた最悪や
俺は
前に葵ちゃんに
キツく叱咤されたことを思い出して
今日、一番の深い溜息を漏らした