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さすがに無理やろ
第15章 甘く…切なく
それからユリは
なるべく敬語を使わんようにしてたけど
なかなか上手いこといかんみたいやった

いや
上手いこといってない訳やない
そもそも仕事モードの敬語の方が語りはスムーズで
素の喋りの方がのんびりしてるから
上手いこといってないと
俺が思うてしまうみたいや

「ご馳走さん!
ほんま美味かった。
ありがとうな。
あ、せや
そう言えば…
なんで今日休んでたんや?」

「あー…それは…
朝、すごく目が腫れてて…」

ほんま
敬語やめた途端
喋るスピードかダウンすんな
むしろ俺は
仕事モードで
淡々と喋られるより
こっちの方がええけど

「腫れてたって
泣いたっちゅうことか?」

「…はい。
色々頑張って
水本さんみたいになろうとしたけど
コンビニで新飼さんと会ったら
何やってんだろ…って
悲しくなって…
もう
水本さんには勝てないなって思ったから
いっぱい泣いちゃって…」

「え、なんで?
なんでそう思うたんや?
俺は
部屋行きたい言うたやろ?」

「うん…
でも見ちゃったから」

「何を?」

「シャツに付いてた…口紅」

そう言うと
さっきまで
ニコニコしてたユリの
顔色が曇った

「え?口紅?」

「あ、でももう
気にしてないです。
新飼さんのこと信じてるから
もう、それは、うん、大丈夫」

「いやいやいや
誤解せんとってな?
た、たしかに
酔うてたから
水本さん支えたりして
付いたかもしらんけど
ほんまなんもないから」

いや
ほんまは色々あったし
記憶からなかなか消されへん
水本さんの下着姿と
おっぱいの弾力に
若干、心揺れたけど

「ほんま!ほんまないから!」

「クスッ」

「え?」

「そんなにムキになると
余計に疑ってしまいます」

「せ、せやな」

「だからもう
この話題は…」

「うん。わかった。
ユリ…」

「はい」

「好きやで」

俺は
ユリを抱きしめてキスをして
そして
ユリの耳元で囁いた

「シャワー浴びよか
…一緒に」

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