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さすがに無理やろ
第17章 おそらく最終章
せやから俺は
ユリの隣に肩肘をつき
ユリの頬を優しく撫でながら答えた
「かまへんに決まってるやろ?
休むんやのうて
辞めたらええ。
もう会社行くな」
本心やった
偽っても
偽らへんかっても
こんなに憔悴するんなら
また別の人生を探したらええと
するとユリは
少しだけ微笑んで
俺を見つめた
「ありがと。
また明日頑張れそう」
え?
何言うてんねん
「辞めてもいい。
休んでもいい。
ゲームオーバーしてもいいなら
もう少し頑張れる」
「頑張るなって」
「クスッ」
「なんや?」
「そんな風に
親が言ってくれたら
もう少し楽に生きて来られたのかな…
と、思って。
親はいつも頑張れって言ってたから。
私が親になったら
新飼さんみたいに
言ってあげたいな…」
三つ子の魂百まで…か
「せやな。
俺とユリの子は
言わんかっても頑張り屋やろうから
そう言うて育てよな」
「新飼さん…」
「ユリ」
「……」
「子供作ろか」
「え?」
「今からすぐ」
「ダメ」
「なんでや?」
「約束したの」
「約束?」
「うん。
今日、水本さんと」
「なんて」
「辞めるなら
とことん
自分らしく勤務してから
辞めましょって」
「せやけど」
「いいの。
私もそうしたいの。
毎日弱音を吐いて
新飼さんに迷惑をかけるかも
知れないけど
でもそうしないと
会社を辞めたあとも
同じことをしてしまいそうだから…」
そうか…
「自信を…
つけたいいうことか?」
「そう…かな。
あと、強くなりたい」
その言葉を聞いて
俺はユリに
優しく口づけをした
そして
ユリの頭を撫でながら
まるでユリを
子供のように褒めちぎった
「そう決意したことが
もう強なってんで?
先のこと考えて
厳しい道を進もう思うこと事態
ユリが変わった証拠や。
偉いなぁほんま」
「新飼さん…」
それから
ユリは涙を流しながら
俺に縋りついていたけど
しばらくすると涙を拭いて
俺におねだりをした
「お腹、空いてきたみたい」
「それは良かった。
昼は、ほとんど食べられへんかったもんなぁ。
うどん、作ったろか?」
「うん」