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さすがに無理やろ
第4章 惹かれる理由
そろそろ帰るか…

安藤と水本さんが
さっさと定時で帰った後
さすがに月曜日というのもあってか
他の社員もパラパラと帰宅
いつの間にか
事務所に残ってるのは俺一人になっていた

俺、ひとりか…
なんや

寂しいなぁ

水本さんのドタキャンを食らって
ホッとしてたくせに
なんや寂しい気がして仕方がない
はぁ…
それやったら
人混みの中におった方がマシやな

もう
帰ろか

そう決めた俺は
その空間から逃げ出すように席を立ち
リュックを背負った

と、その時
背後から聞き覚えのある声がした

「失礼します」

声のする方に身体を向けると
鞄を持ち
もう帰り支度を済ませた青山さんが
入り口に立っていた

俺の席から入り口は遠い

せやから
俺と青山さんは
かなり離れて立ってるのに
その時なぜか
俺の胸がトクンと音を立てた

「あ、何か?」

「遅くにすみません。
部長に書類を届けに…」

相変わらず
色白やなあ…

「あー…部長は出先から直帰やないかな…」

「わかりました。
居ない場合は
デスクに置いておくように言われてますので」

青山さんは
いつものように
丁寧で、やや冷ややかな感じでそう言うと
部長のデスクに書類を置き

「お疲れ様です」

と、軽く会釈をして
事務所を出て行きそうになった

ちょっ
ちょっと待ってくれ!

俺は心の中でそう叫ぶと
急いで青山さんに話しかけた

「今まで残業ですか?」

もちろん
青山さんが帰ってしまうのを阻止するためや

「…あ、はい」

どうでもええ会話や
分かってる
せやけどとにかく
青山さんを帰したくなかった

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