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さすがに無理やろ
第1章 可愛子ちゃん
俺は安藤のその言葉を聞いた途端
水本さんの表情に目をやった
もしかして
こいつら示し合わせてたんちゃうか?
と思うたからや
いつもと違う雰囲気の服
さっき帰ったのに
また戻って来た安藤
俺が残業してたんは
計算外やった…とか…?
そんなことを考えながら観察すると
水本さんの顔がちょっと赤くなってる気がする
それになんか焦ってる感じや
「し、新飼さん、ありがとうございました」
「えっ?」
可愛子ちゃんは
急いで俺の手から書類を奪い取ると
その書類をデスクに置いて
俺から身体を遠ざけた
そして
その隙間に入るように
安藤が畳み掛ける
「その書類
むずいから気になってて。
水本さん手伝うよ、俺」
な、なんやこれ
俺は間違いなく
邪魔物扱いされてるやんか
くっそ、安藤のやつ
とは思うものの
それはしゃあないことで…
「ほな安藤頼んだで」
俺は火のついてた心を落ち着けて
安藤の背中を叩いて
立ち上がった
俺の出る幕やなかったっちゅうことや
そもそも
こうなることは
決まってたんかもしれん
決まってないとしても
期待はしてたんやろう
安藤の顔を見れば
そんなことはすぐに分かった
「あー
腹減ったから俺は帰るわー。
遅ならんように帰れよー」
基本
俺は大人の女が好きや
タイプが峰不二子というのも
嘘やない
色気のある
ちょっと危なっかしい女も
大好きや
せやのに
なんでこんな歳下の可愛子ちゃんに
魅かれてんのか
自分でも不思議で…
気を利かせて事務所を後にした俺は
ため息を漏らしながら
夜空を見上げていた