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さすがに無理やろ
第1章 可愛子ちゃん
「あー…この書類かぁ。
めんどくさいよな、これ」
「あ…はい」
なんて言いながら
下心を隠した俺は
可愛子ちゃんの書類を手にとった
水本さんは
気が利いて派手やなくて
ちょっと遠慮ぎみで…
どこか守りたくなるタイプ
俺はまぁ…
水本さんからしたら
ただのおじさんやと思われてるやろう
などと思いつつ
「コツ覚えたら早なるで」
って言うと
「ほんとですか?」
可愛子ちゃんは
まっすぐに俺を見つめた
なんちゃう…
嬉しそうな顔してんねん
「ほんまや。
コツ覚えたら
もう残業せんでえぇわ」
せやから…
教えたるから
この後飯でも行かへんか?
と言えたら
どんなにええやろ
けどそれは
とんだセクハラやし
いや、パワハラか?
どっちかわからへんけど
そんなことより
まず
可愛子ちゃんが
こんな歳上の俺を
ストライクゾーンやないことくらい
俺もようわかってる
せやから
飯誘うとか
口が裂けても言われへん
…しゃぁないな
見返り抜きで
「教えたるわ」
可愛いから
「嬉しいです!
あ、でも
急ぎの仕事なんじゃ…」
「いや
そんな急ぎやないし」
「本当ですか?」
可愛子ちゃんは
俺の急ぎでは無いという言葉を信用してへんのか
ちょっと心配そうな顔で
俺を見つめた
可愛い…
その目は猛烈に可愛い
肩につくくらいの柔らかそうな髪に
ちょっと
胸元の開いたブラウスは
可愛子ちゃんに
めちゃくちゃ似合うてる
痩せすぎてない
ふわっとしてそうな肌は
分からへんけど多分
抱きしめたら
絶対気持ちええやろうし
えぇ匂いするはず
「新飼…さん?」
「あ、あーーホンマホンマ
忙しないから教えたるわ」
「ありがとうございます!
じゃ、じゃあどこから…」
と、可愛子ちゃんが
俺の持つ書類を覗き込んだ
その時やった
「あ、お疲れ様です!
新飼さんも残りですか?」
事務所に入って来たのは
可愛子ちゃんの近くの席の安藤
「おう、ちょっとな。
なんや忘れもんか?」
邪魔すんなよ
ほんで
さっさと帰れよな、安藤
「いや、ちょっと水本さんが気になって」
え?
気になって?
気になってって
どういう意味やねん!