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さすがに無理やろ
第6章 もどかしい偶然
6時を快諾してくれたとこで駅に着き
俺と青山さんは
同じ電車に乗った
電車はまぁまぁの混雑で
俺と青山さんは
わりと接近したまま
吊り革を握った
電車の中で他人と接近すんのは
慣れてるはずやのに
相手が青山さんやと
妙に距離が気になる
近すぎたら嫌われそうやし
かと言って
これ以上離れられへん
微かに
青山さんの肩が
俺に触れてんの
青山さん、気づいてんのかな…
「青山さん」
近い距離と沈黙に耐えられず
俺は青山さんに話しかけた
「はい」
青山さんは
窓の外に視線を向けたまま
返事をした
俺は
青山さんを見下ろし
眼鏡のその下の
ふわりとしたまつ毛に見とれてたけどな
「座られへんけど大丈夫か?」
「大丈夫です」
「まだ万全やないのに残業とか
誰か他にやれる人おらへんの?」
「…誰かに頼むのは…少し苦手なので」
なんや柔らかい話し方に
変わってきたなぁ
会社におる時と違う青山さんに
俺はどんどん惹かれていった
「そぉかぁ…
まぁわからんでもないわ。
正直俺も誰かに頼んで
そいつがしんどい思いするんやったら
俺がやる的なところあるしな。
せやけど
こないだみたいになるまで
頑張りすぎたらあかんで」
そう言うと
外を見ていた青山さんが
突然俺を見上げて俺の名前を呼んだ
「…新飼さん」
「えっ、何?」
あ、あかん…
可愛い…
今、電車揺れてくれへんやろか
青山さんに
ぶつかる理由を俺にくれ!!
青山さんに触れる理由を
俺にくれー!
「あ、いえ」
せやけど
残念ながら
青山さんはそう言うと
また窓の外に視線を向けてしまった
あかん
気になる
何を言いたかったんか
絶対知りたい!
そう思った俺は
窓に映る青山さんに話しかけた
「なんや気になるやんけ。
気になって眠れへんわ」
「クスッ…」
「なぁ、教えてぇな」
すると青山さんは
窓に映る俺に答えを教えてくれた
「新飼さんは
案外優しい方だなぁと」
う、嬉しい…
めちゃくちゃ嬉しい!!
せやけど!
「案外ってなんやねん」