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さすがに無理やろ
第6章 もどかしい偶然
え?なんで?
さっきの電話
家からかと思うてたでー
と、話しかけたい気持ちMAXやったけど
会社では仕事の話以外禁止令が出てる俺は
それをグッと我慢し
「疲れ様です」
と、軽く会釈をして
エレベーターに乗り込んだ
「あ、新飼さん
お、お疲れ様です」
青山さんも驚いたのか
珍しく動揺してるのが微笑ましくて
俺は青山さんの後ろに立ったまま
静かにニヤついた
それからエレベーターは
一階までノンストップ
もちろん二人の会話はない
一階についても
二人は無言でエレベーターを降り
静かにロビーを歩いた
そしてビルから外に出ると
先に歩いていた俺は
少し大袈裟に
キョロキョロと周囲を見渡し
そして青山さんに話しかけた
「誰もおらんから
話しかけてもええよな?」
「クスッ…はい」
わ、笑うてる!
俺が禁止令守ってんのがおかしかったのか
青山さんはその時
ほんの少し笑いながらうなずいていた
笑うと
もっと可愛いやんけ…
この子を
好きなだけ抱きしめたり
この子と
好きなだけキスできたら
どんなにええやろ…
「もう身体は大丈夫なんか?
こんな遅うまで残業して」
「はい、もう全然
あ、いえ…
正直に言うと
残業は少しキツいです」
青山さんは
そう言いながら苦笑いを浮かべた
な、なんや
本音とか言うてくれてるやん!!
ちょっと警戒心薄れたんちゃうか?
俺はそのことが嬉しかったが
それよりも
自然と2人で
駅に向かって歩いていることが
めちゃくちゃ嬉しかった
「せやろなぁ。
無理したらあかんで?」
「はい。
あ、土曜日」
「おう、場所か?」
「新飼さんのご自宅近くの
駅までお持ちします」
「そんなええよ」
「いえ、ご自宅から遠いと
シワになってもご迷惑ですし。
駅はどちらですか?」
「あーあの居酒屋の次の駅や」
「あ、そうなんですね。
じゃあ…西口の改札を出たところにある
喫茶店、わかりますか?」
「あーわかるで!
なんやコーヒーが
めちゃくちゃ美味しそうな
昔ながらの雰囲気の店やろ?」
「あ、はい。
よかったらそこで」
「ええよ。
行ってみたかったし。
青山さんよう行ってんの?」
「あ…まぁ」
あかんあかん
プライベートなことは
聞かんようにせんと
「あ、時間は俺が決めてもええ?」
「はい」
「ほな…6時で」