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さすがに無理やろ
第9章 友達からの脱却
青山さんは
その小さな部屋にポツンと座っていて
俺の望み通り髪を下ろしていた

「お待たせ」

「あ、いえ、こんばんは」

それからすぐに
二人でおまかせコースを注文し
冷えた生ビールで
俺達は小さく乾杯を済ませた

「昨日、あれから大丈夫やった?」

「あ、はい。
昨日はすみませんでした。
珍しく酔ってしまって
ほんと恥ずかしいです」

「ええよ、ええよ。
あれくらいやったら
いっつも酔うてええで」

「いえ、ちゃんと気をつけます。
けど…」

「けど?」

「私、失礼なこととか
何か変なこと言ってませんか?
あまり…覚えてなくて…」

ほんまに珍しく酔ってたんか
青山さんは
そのことをすごく
気にしてるみたいや

「変なことなんか言うてないで」

「…良かった…」

「あ、せや
変なことやないけど
俺と付き合うてくれる
言うてたけど覚えてる?」

「えっっ」

青山さんの驚きは半端なく
その声はかなり大きかった

そして、そのことに自分も気付いたのか
すぐに手で口元を押さえて
顔を真っ赤にした

色白いと
ほんますぐに
赤くなるんやなぁ

「なんや覚えてへんのか…残念やなぁ」

「それ…ほんとですか?」

そう言いながら青山さんは
心配そうに俺の目を見つめた
そんな心配そうな顔すんなよ
無茶苦茶付き合いたないみたいで
凹むから

「あはは、冗談や。
ほんまに
そない言うてくれたらええのにとは
思うてるけどな」

そろそろ
ほんまに進展したいと
思うてるし

「…新飼さん…」

けど青山さんにその気はないらしく
また返事に困っているようで
言葉を濁した

「ごめんごめん、悪い冗談やったな。
心配せんでええで。
青山さんにその気がないなら
俺は諦めるから。
あーそれより
今日は髪、下ろして来たんやなぁ。
可愛らしいで」

「あ、あの…もう…」

「あはは」

またまた困ってしまった青山さんは
真っ赤になった頬を
両手で押さえた


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