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さすがに無理やろ
第9章 友達からの脱却
あんまり攻めるのも可愛そうやから
それからしばらくは
他愛もない話をしながら
村瀬の食事を楽しんだ
色々と話を聞いてみると
青山さんの友人というのは
なんと
ここの店の奥さんらしく
名前は村瀬さんだということが分かった
青山さんは
その村瀬さんのことを
『葵ちゃん』と呼んでたけど。
「なるほどなー。
青山さんと葵ちゃんは
うちの会社に転職する前
同じ会社で働いてたんか…」
「そうなんです。
私の後輩なんだけど
とても頼り甲斐があって
もう歳の差は気にならないくらい
仲が良くて」
「そぉかぁ」
「色々助けてもらったんです。
前の会社で」
前の会社で…
何があったんやろ
「優しい子やなぁ。
今でも青山さんのこと
えらい気にかけてるみたいやし」
無茶苦茶
俺、叱られたしな
「そうなんです…。
ちょっと心配し過ぎるくらい。
あ〜…でも」
「ん?」
「私がいけないんです。
成長しないから…」
そこで青山さんは話をやめ
注文したばかりの
熱燗に口をつけた、その時
「あっ…」
青山さんの眼鏡がくもり
そっと眼鏡を外した
そして
お猪口の酒を
ほんの少しだけ飲み
またその眼鏡をかけようとした
「青山さん」
だから俺は思わず
その手を握ってしもうたんや
「は…い」
「そのまんまでええやん。
な?」
「…でも…」
「また曇るだけやし」
「……」
「そのままの方がええ。
なんや…俺もリラックスできるし。
ほんまは眼鏡かけんでも
見えてるんやろ?
なんでそんなことしてんのか
理由は聞かへん。
せやから…外しとき。
その方が青山さんも楽なんやから」
すると青山さんは
ちょっと迷ってたけど
小さく頷いて
そっとテーブルの上に眼鏡を置いた