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お園さん
第4章 好きになったら、何をするの?
薄暗い玄関、それに続く廊下、居間に通されたが、家の中は人の気配がなかった。
「何も分らない癖に」
彼女は怒っていたが、私も頭に血が昇っていたので、後先考えずに思っていたことをぶちまけた。
「何であんな男と付き合うんだよ!」
「あんな男って、何を言っているのよ!」
「そうじゃないか、頭が白くて、飯田さんよりもずっと年上、何であんな奴がいいんだ?」
売り言葉に買い言葉、エスカレートしていくが、「じゃあ、どんな男ならいいのよ?」と言われた私は言葉に詰まってしまった。
「どうしたのよ、何を黙っているのよ?」
「あ、いえ」
「言えないの?」
「もっと若くて」
「若くて?」
「………」
「若くて僕みたいのがいいって言うの?」
それはそうだが、そんな風に言って欲しくは無い。私は純粋な気持ちを茶化されたようで、ぶち切れてしまった。
「何で僕が飯田さんのことを好きにならなくちゃいけないんだ。ふざけんな!」
「そう、嫌いなの?それなら私が誰と付き合おうと勝手じゃない」
「うるさい!僕の、僕の気持ちなんか分らない癖に」
「『僕の気持ち』って何なのよ?勝手に〝恋人気取り〟しているだけじゃないの」
こんな風に言い合ったが、所詮、大人と子供。何を言っても、言い負かされてしまう。だが、それよりも、上品なお園さんがこの日に限って変なことを言い出した。