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中西教授の独白「忘れ得ぬ女たち」
第3章 相性の抜群の矢代茜さん
大学時代で印象に残っているのは、大学の文学部事務職員の矢代(やしろ)茜(あかね)さんですね。
えっ、女子大生とは付き合わなかったのか、ですか?勿論、付き合いましたし、体も交えました。だけど、考えてみて下さい。20歳そこらの男がセックスの達人だってことを。怪しい奴だって誰でも思いますよね。最初は失神してしまうのに、二度目は約束の場所に誰も来なかった。
だから、茜さんなんです。
付き合い始めたのが、私が大学4年生、22歳、彼女は35歳の時です。茜さんはバツイチの独り身、美人じゃないけど、清潔感たっぷりな女性でした。
短めの髪、化粧は薄く、いつも地味なスーツを着ていました。
出会いとは、本当に不思議です。
「ここ、空いてますか?」
「ええ、どうぞ」
その日、自分で作った弁当を、大学キャンパスのベンチで食べていたら、彼女から声を掛けてきました。同じ文学部、4年生と職員ですから、お互いに顔と名前は知っていましたが、話したことはありませんでした。
「お母さんのお弁当ですか?」
「いえ、アパートで独り暮らしですから、自分で作りました」
「へえ、男の人がお弁当を作るんだあ。美味しそうね」
「あ、いや、そんな。昨日の残り物だけですよ」
翌日から、そこで一緒に弁当を食べるのが日課となり、お互いのアパートを行き来き、へへへ、そういうことです。
ちょっと、お茶を……ふぅぅ、思い出しちゃいました。