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恋する男子に恋をした
第3章 印
「ん、何だよ。キスマークくらい対した事ねーだろ?中学生女子でもあるまいし」


「……蜂屋、お前は対した事なくても俺には大有りなんだよ。今更なんの話すんだよ、一方的に俺に怒りを押し付けて、もう十分だろ?第一、俺がお前から好きな女を寝とったっていうんなら、ここまでの仕打ちも理解はしないでも無いけど、どう考えたって理不尽だろ?!俺が何したんだよ?勝手に好きになられただけだろ?」



俺が次々に文句を言えば、蜂屋はただただ黙って、真剣な表情で聞いていた。

だからって俺の怒りが静まるわけでもない。次から次へと溢れ出す気持ちと言葉が止まらなかった。



「話をするくらいなら、俺が電話をした日に……事に及ぶ前にするのが普通だろ。考えてみりゃ分かるだろ?お前が好きな『美咲ちゃん』を、俺が好きになると思うか?」



自分で言って胸が締め付けられた。

この異変がどういう感情の時に現れるかも知っている。

まさかと思うものの、唇の震えと共に冷え行く心が事実を突きつけるのだ。


違う、そうじゃ無い!!


そう思っても、バイト前に見た蜂屋の後ろ姿を思い出すと、拍車をかける様に苦しくなった。



『好きな人が、自分じゃ無い好きな人を、愛おしそうに見ている姿』
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